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恋花火
第46章 繋いだ手
唇と唇が静かに重なり合う、キス。


唇を離すと、タケルはキョトンとした顔で私を見ていた。


きっと口を開けば、こう言うだろう。


なにやってんの?って。


「……なにやってんの?」


ほらね。


「……私もわかんない。でも、タケルにキスしたいって思ったから、した。」

「いや、浮気でしょ、それ。」

「……だと思う。」

「だと思う。…じゃねーよなにやってんのマジで」

「本当、そう思うよね。私もそう思う。」

「意味わかんねぇ。」


こんな言い合いをしながらも、お互いの手は繋いだまま。


「……私、すごく最低。」


わかっているのに


この気持ちはなに?


自分で自分の気持ちがコントロール出来ない。


"大嫌い"


郁さん、わかります


私も、私みたいな人間は大嫌いです。


「……ふっ」


急にタケルが笑った。


と思ったら、そのままもう一度、タケルから重ねられた唇。


「……なに、その顔。菜月から仕掛けてきたんじゃん。」

「……ビックリして……」

「本当、最低だわ。」


再び軽く触れる唇


そしてそれは、回を増すごとに深く、熱く____


唇と唇の隙間はゼロに等しい。


それくらい濃厚に絡み合う、唇と舌と


からまり合った、指。


「タケル……」


名前を口にするとまた、キスをしたくなる。


私たちは白鳥に囲まれながら


幾度も幾度も、キスをした_____


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