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恋花火
第46章 繋いだ手
今まで何度もしたキス


けれど、そのどれとも違うキス


唇が重なるたびに胸の奥をギュッと鷲掴みにされるような


今にも泣き出してしまいそうな


初めての気持ちに出会う


「菜月…」


タケルの唇から紡ぎ出される私の名前は


なにかの魔法の呪文のように、耳に届く。


「……私、タケルに名前呼ばれるの好き。」

「なんで?」

「一番しっくりくるの。……お父さんより、お母さんより、誰よりも一番私の名前呼んでくれるのはタケルだから。」


小さな頃に両親を失った私は、二人に名前を呼ばれた記憶はなく


おじいちゃんよりも一緒にいる時間の長いタケルに呼ばれたことが、きっと一番多いから


「……俺もだよ。菜月に一番名前呼ばれてる、きっと。」


朝起きて、すでに仕事に出かけてしまっているおじいちゃん。


だからタケルにおはようって言うことが、1日の始まりだった。


タケルー起きろー!って、毎朝起こしてたよね。


眠いって寝ぼけながら着替えをして、遅刻だって家を出て。


いっぱいいっぱい走って、足の速いタケルについていけるはずなくて


だけど必ず振り返ってこう言うの。


菜月、早く来いよ


って……






「タケル……」


私は目の前にいるタケルのことしか考えられず


ギュウと強く抱きついた。


これから先どうなるのか、とか


最低なことをしているとわかっていても


私は何度もタケルにキスをした。


「ぶはっ」


キスの合間に、急に笑い出すタケル。


「おまえ、鼻水〜」


ケラケラと笑い続けている。


「ティッシュ!」

「ねぇよ」



こんな時、陸先輩はすぐにティッシュを取り出し、優しく鼻を拭ってくれる。


なのにタケルときたら、私の首に巻かれてあるタオルで、乱暴に鼻を拭ってきた。


……ていうか私、タオル巻いたままキスしてた。


ムードなし。笑

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