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恋花火
第46章 繋いだ手
帰らない、そう口にした私の頭を、タケルはグシャグシャと撫でた。


……好き、その手が。


好きだよ。


私たちは、駅前に建っていたビルの中にあった、カラオケ屋に入った。


制服だからダメかも、と思っていたけれど、同じような人たちが何組ほどかロビーにいたので、ここは大丈夫な場所らしい。


個室に入ると、力が抜けた。


「……今更怖気付いた?」

「そうじゃないけど……」

「けど?」

「なんだか……信じられなくて。」


もう一度、こうしてタケルと通じ合えるなんて思ってもみなかった。


茜先輩とタケルがキスをしていたのを見たとき


二川原さんがタケルの部屋にいたとき


私は何度も、絶望した。





「俺もだから。」


タケルは、私を後ろから抱きしめ、耳元で囁きかける。


「菜月とこうして触れ合えるなんて……夢みたいだ。」



手を伸ばせば握り返してくれる手がそこにあって


名前を呼べば優しく微笑み返してくれる


……それはとても幸せで、幸せすぎて


脆く、簡単に手からこぼれ落ちてしまいそうなほどの


甘い甘い幸福の時間に包まれた。



「…あ…、んっ……」


服の上から、やわやわと乳房を弄られる。


敏感な桃色の頭頂部には触れられていないのに


あまりの気持ちよさに身震いするほど。


乳房を弄られながら、耳にキスが落とされる。


私の口からは、絶えず嬌声が漏れた。


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