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恋花火
第6章 シーサイドにて
「美波のバカ…」


イチゴのカキ氷を両手に戻ってきたら、美波は既に沖に出ていた。


「ふたつも食べたらおなか壊れる…」


はぁ、とため息がこぼれる。


一度生まれたコンプレックスは消えることはなく、大きくなるばかり。


私が男でも、マシュマロみたいなおっぱいに惹かれるわ、きっと。


シャクシャクと氷をすくい口に運んで行く。


…冷たくて甘くて美味しい。


二個イケるかもしんない。笑


夢中で食べてたら、「デブるぞ。」って…後ろから声がした。


「…タケル。」


振り向くと、その声の主はタケルだった。


「いいんだもん。美味しいから。」

「太っても知らねーぞ。」


ハハッと笑い、タケルは私の隣に腰をおろした。


「まぁいっか。太ればその分胸もでかくなるかもな。」


…もう、それ、今の私に禁句…。


「えっ」


瞳からポロポロとこぼれる涙。


へんなの…これくらいで泣くなんて、子どもみたい。


「ちょ、え、なんで、俺なんか言った!?」

「うわ、自覚なし!?無神経男!」

「もしかしておっぱいのこと?」

「それ以外ないじゃん!」

「それくらいで泣くなよ。」


それくらいって…


「もーいい。タケルなんか知らない。マシュマロおっぱいのユリ先輩と仲良くしてれば?」


あーあ


私ってほんと可愛げがない…。


ユリ先輩と仲良くするの嫌だなぁって


素直に言えたらいいのに…。
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