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恋花火
第48章 Do not cry
私は急いでタケルを追いかけた。


いつもなら


振り返って言ってくれる


菜月、早く来いよって……


なのに今は


一度も振り返らないタケルの背中を追った。


「タケル!」


いっぱい走ってやっと追いつき、タケルの腕を掴み振り向かせた。


「こっち向いてよ……」


お願いだから


話をしようよ


けれどタケルからは、"拒絶"という名のバリアが張られている。


これ以上踏み込むな、そういう風に思っている時の目。


私はきっと、思い上がりかもしれないけれど、誰よりもタケルの側にいて、誰よりもタケルの事を知っている。


だからわかってしまう。


タケルが考えている事が……





「離せよ」


タケルは私の手を振りほどいた。


「……彼氏がいるのに、随分だな。」


これは本当にタケルなのだろうか


さっきまで名前を呼び合い、抱きしめあったタケルと同一人物なの?


嘘だよこんなの


だって私たちは


あんなにも強く結ばれたのに


"ずっとこうしたかった"


そう囁いてくれたのは……なんだったの?


「陸先輩みたいな人に気に入られてんだから、いいじゃん。なかった事にしよーよ。きっと謝れば許してくれるよ。なんなら俺、殴られに行こっか?」


……違う。こんなの、タケルじゃない。


まるで知らない人だ。


酷い寒気がする。


外はいつのまにか雨が降っていて


私たちは濡れてしまっていた。



"誰でもよかった"


そうだよ


タケルはいつも、寂しいとき私を抱いていた。


今日もきっと、ただ寂しかっただけ。


もう少しで引っ越すから……それで……


「……バイバイ。」


冬の雨のせいだろう、冷え切った唇は勝手に震えた。


「……。」

「タケル、バイバイ。」



私はうまく笑えているかな


寒くて寒くて


凍えてしまいそう


タケルは何も言わず再び歩き出した。


不安になって後ろを振り返るタケルは、もういなくなってしまった。


バイバイ


バイバイ


タケル……










涙は出ない


冬の冷たい雨が


頬を伝って地面に落ちた。

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