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恋花火
第50章 私の宝物
「あいつ〜今日も来ないなんてどういうつもりだよ。」
全国大会の開会式。
かつてないほどのサポーターで観客席が埋まった。
……これが全国なんだ。
もちろんテレビでも放送される。
タケルは、どこかで見てくれているかな。
みんなの戦う姿を。
全国大会では、やはり今までとは桁違いのレベルの対戦相手ばかり。
それでも我が校だって負けてない。
二回戦、三回戦も突破し
なんと準決勝までこぎつけた。
今までの我が校の歴史上で最高だと監督たちが言っていたのを聞いた。
……だけど、準決勝は去年の優勝校とぶつかり
私たちは負けた。
選手やマネージャーがワンワン泣く中で
陸先輩はただ一人泣かず、部員一人一人になにか声をかけていた。
「菜月ちゃん、負けちゃったよー」
つとめて明るく振る舞う陸先輩を見て
なんだかこみ上げるものがあった。
「……陸先輩」
泣いてもいいんですよ
言いかけて、その言葉を飲み込んだ。
無責任なことは言えない。
陸先輩はきっと、どんなに辛くても人前では涙を見せないはずだ。
「タケルのせいだ!」レンが冗談なのか本気なのか、そんなことを言って
部員たち、特に一年のみんなが頷いていた。
……もう、タケル
予測不能な突拍子もない攻撃を仕掛けるの得意じゃん。
沈んでる部員たちにハッパかけるのも得意じゃん!
早く来てよ
あぁ、もう。
私はどこまで馬鹿で、気の利かない奴なんだ。
ここで泣いてしまってどうするの
今まで耐えた意味がないじゃん
陸先輩は、私の涙を誰にも見えないように
スコアに何か書き込むふりをして隠してくれていた。
ありがとう
本当にありがとう
こんなに素敵な人よりも
訳わかんないタケルの事が大好きな自分のことも
だいぶ訳がわかんない。
全国大会の開会式。
かつてないほどのサポーターで観客席が埋まった。
……これが全国なんだ。
もちろんテレビでも放送される。
タケルは、どこかで見てくれているかな。
みんなの戦う姿を。
全国大会では、やはり今までとは桁違いのレベルの対戦相手ばかり。
それでも我が校だって負けてない。
二回戦、三回戦も突破し
なんと準決勝までこぎつけた。
今までの我が校の歴史上で最高だと監督たちが言っていたのを聞いた。
……だけど、準決勝は去年の優勝校とぶつかり
私たちは負けた。
選手やマネージャーがワンワン泣く中で
陸先輩はただ一人泣かず、部員一人一人になにか声をかけていた。
「菜月ちゃん、負けちゃったよー」
つとめて明るく振る舞う陸先輩を見て
なんだかこみ上げるものがあった。
「……陸先輩」
泣いてもいいんですよ
言いかけて、その言葉を飲み込んだ。
無責任なことは言えない。
陸先輩はきっと、どんなに辛くても人前では涙を見せないはずだ。
「タケルのせいだ!」レンが冗談なのか本気なのか、そんなことを言って
部員たち、特に一年のみんなが頷いていた。
……もう、タケル
予測不能な突拍子もない攻撃を仕掛けるの得意じゃん。
沈んでる部員たちにハッパかけるのも得意じゃん!
早く来てよ
あぁ、もう。
私はどこまで馬鹿で、気の利かない奴なんだ。
ここで泣いてしまってどうするの
今まで耐えた意味がないじゃん
陸先輩は、私の涙を誰にも見えないように
スコアに何か書き込むふりをして隠してくれていた。
ありがとう
本当にありがとう
こんなに素敵な人よりも
訳わかんないタケルの事が大好きな自分のことも
だいぶ訳がわかんない。