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恋花火
第51章 友情と愛情
郁さんは困ったように、眉間に皺を寄せていた。


「……じゃあ私はこれで……」

「はっ?」

「えっ?」


気まずい空気が流れる。


「……それ聞いて、なんとかしてあげよー♪とか思わない?」

「そんなこと言われても……今の私にはどうすることも……茜先輩の方が力になってくれるんじゃないですか?」

「あー、あの子ね。俺あの子に毛嫌いされてるんだわ〜」

「……どうせまた、ひどいこと言ったんでしょう。」

「まぁ、そんなとこ。俺ってほんとダメな奴なんだよねー」


……そんな寂しそうな顔されると、なんだか私がひどいことしてるみたいな気分になる……


実際、慕ってる人に冷たくされたら傷つく。それはすごくよくわかる。


……私だって


タケルとほんのちょっと気まずくなっただけで……




「おい」


急に低い声がして、ビックリして振り向くと


「陸……!」


陸先輩が立っていた。


「陸、俺さ……」

「話しかけんな」


ひゃー!


こんな冷たくてぶっきらぼうな陸先輩は初めて見た!


……ていうか


今日の陸先輩と郁さんはいつもの反対みたい。


優しい郁さんと、ちょっと荒ぶってる陸先輩。


「……ふふ」


思わず笑ってしまった。


やっぱり二人は、似ているようで似ていない。


似ていないようで、よく似てる。


ややこしい。笑


「陸、なんで無視すんだよ。」

「ちょ、郁さん!」


そんな乱暴な言葉遣いだと、仲直りできるものもできません!ピシャリと耳打ちすると、郁さんはもう一度言い直した。


「……陸、あのさ……」

「つーか何。なんでそんな仲良くなってんの。」


ムカつく。そう陸先輩は呟いた。


「陸先輩!違います!まったく仲良くなんかありません!」

「そーだよ!俺こんな女だいっき……らいではないけど」


最後の方、ゴニョゴニョしてて聞き取れない。笑


「行こ、菜月ちゃん。」

「あのっ!陸先輩!」

「…なに?」

「……兄弟喧嘩って素敵ですね?なんか萌えちゃう〜」


私とタケルみたい。


周りからしたら、そんなことで?って思うことで延々と喧嘩しちゃうんだよね。


「も……、萌え?」


陸先輩は、なにが面白いのか


噴き出して笑った。





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