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恋花火
第53章 Destiny
「ご家族の方、どうぞお入りください。」
医師から話がある、ということで
診察室に入るよう言われた。
「話ってなに……聞くの怖い。」
「いいから行こう。」
すごく怖くて不安だけど
繋がれた手から伝わる温もりが勇気をくれる。
「えっと……大人の方はいないのかな?」
私とタケルは首を横に振り、自分たちしかいないと伝えた。
「ご親戚の方とか……」
「いないんです……」
「それなら君たちに説明するね。ご兄妹かな?仲がいいね。」
医師は優しく微笑み、そう言った。
説明によると、おじいちゃんのオペは無事終了したとのこと。
けれど頭を強く打っているし、出血も多く危険な状態だという。
とりあえず今日は、病院に泊まることになった。
「病院って本当は泊まるのダメじゃなかった?」
私の問いかけにタケルは答えなかった。
後に知ったのは、危篤のための特別措置だったということ。
私とタケルはおじいちゃんの病室に入った。
事故後初めて見るおじいちゃんの姿は、想像よりも酷いものだった。
さっきたくさん泣いたせいか、涙は出なかった。
部屋にはピッピッピッと定期的な音と、シューシューという音がしている。
おじいちゃんの手をそっと握ると、温かくてホッとした。
「座っとけよ。疲れただろ。」
部屋には椅子がひとつしかなかった。
「タケルこそ疲れてるでしょ。」
「全然。」
そういえばタケルはどうしてここにいるんだっけ?
今更そんな疑問が頭を過る。
「入院のもの、色々準備しなきゃだね…」
「うん。朝になったら家に行こう。だから今はちょっと休め。」
タケルに言われて、椅子に座る。
けれどやっぱり心細くなる。
「こっち来てよ。」
「同じ部屋にいるじゃん。」
「くっついてなきゃ嫌なの!」
なんというワガママ。
こんな状況じゃなければ、うぜーとか、ガキかよって言われそうだけど
今日のタケルは言うことを聞いてくれる。
タケルが椅子に座って、足の間に座る。
「……子どもみてーだな。」
「子どもだよ。」
こんな風にタケルに甘えるのは
すごく久しぶりだなと思った。
医師から話がある、ということで
診察室に入るよう言われた。
「話ってなに……聞くの怖い。」
「いいから行こう。」
すごく怖くて不安だけど
繋がれた手から伝わる温もりが勇気をくれる。
「えっと……大人の方はいないのかな?」
私とタケルは首を横に振り、自分たちしかいないと伝えた。
「ご親戚の方とか……」
「いないんです……」
「それなら君たちに説明するね。ご兄妹かな?仲がいいね。」
医師は優しく微笑み、そう言った。
説明によると、おじいちゃんのオペは無事終了したとのこと。
けれど頭を強く打っているし、出血も多く危険な状態だという。
とりあえず今日は、病院に泊まることになった。
「病院って本当は泊まるのダメじゃなかった?」
私の問いかけにタケルは答えなかった。
後に知ったのは、危篤のための特別措置だったということ。
私とタケルはおじいちゃんの病室に入った。
事故後初めて見るおじいちゃんの姿は、想像よりも酷いものだった。
さっきたくさん泣いたせいか、涙は出なかった。
部屋にはピッピッピッと定期的な音と、シューシューという音がしている。
おじいちゃんの手をそっと握ると、温かくてホッとした。
「座っとけよ。疲れただろ。」
部屋には椅子がひとつしかなかった。
「タケルこそ疲れてるでしょ。」
「全然。」
そういえばタケルはどうしてここにいるんだっけ?
今更そんな疑問が頭を過る。
「入院のもの、色々準備しなきゃだね…」
「うん。朝になったら家に行こう。だから今はちょっと休め。」
タケルに言われて、椅子に座る。
けれどやっぱり心細くなる。
「こっち来てよ。」
「同じ部屋にいるじゃん。」
「くっついてなきゃ嫌なの!」
なんというワガママ。
こんな状況じゃなければ、うぜーとか、ガキかよって言われそうだけど
今日のタケルは言うことを聞いてくれる。
タケルが椅子に座って、足の間に座る。
「……子どもみてーだな。」
「子どもだよ。」
こんな風にタケルに甘えるのは
すごく久しぶりだなと思った。