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恋花火
第53章 Destiny
「俺はその時から、唐揚げが大好物になった。」


その唐揚げは焦げてしまって、苦かったのを覚えている。


だけどタケルは全部食べてくれたよね。


美味しい、ありがとうって


何度も何度も伝えてくれたね


「……あの日から今まで、ずっと菜月が好きだった。」


タケルの告白


その瞬間、窓の外が白く光った。





私の心の中をまるで表しているかのように


夜空を白く彩った。






「陸先輩の方がきっと菜月を幸せにしてくれる。だけど、どうしても……」


言いかけているタケルに強く抱きついた。


「……そうだよ。タケルなんか喧嘩っぱやいし、口も悪いし目つきも悪い。」

「他には?」

「あと、エッチ大好きだし。どこでもしてくるし!」

「へぇ。それで?」

「泣き虫だし、女心わかってないし。私の気持ちに気付いてくれないし。」

「あっそ。」

「だけど……なんでかなぁ。」


タケルの背中に回した腕に


ぎゅっと力が入る。





「私も好き。タケルが大好き。もう、どこにも行かないで。」


今まで


言いかけては飲み込んで来た言葉たちが今


ようやくタケルに届いた。




「タケル……」


ほら


名前を呼ぶと


不思議だね


もっともっと好きになるの




「……やべぇ」

「なにが?」

「……よくさ、漫画とかドラマとかであるじゃん。好きってもう二度と言わないからちゃんと覚えとけよ的な。」

「あるよね。」

「俺、何回でも言っちゃうかも。」


好き


大好き


タケルが伝えてくる


私はその度に胸が熱くなり


鼓動が速くなってゆく。





「……まるで花火みたい……」

「そうだな。」


私たちはキスをして


手をつなぎながら、夜空を彩る雷を眺めた。


白く、眩い光を放つそれは


まるで花火のように


私たちを照らした。




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