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恋花火
第8章 恋のイロハ
「最近タケル来ないなぁ」


夕暮れ、縁側でボーッとしていたら隣におじいちゃんが座った。


瓶ビールと塩茹で枝豆を縁側に置き、コップにトクトクとビールを注いだ。


「タケルが来ないと豆余っちゃうよ〜」


そう言いながらおじいちゃんは枝豆を頬張った。


毎年、夏になるとタケルはうちのおじいちゃんの枝豆をつまみ食いする。


今日の豆はかたいとか、塩が足りないとか文句をつけながら。


「…私食べる。」


一粒食べた枝豆は、やっぱり塩が足りなかった。


「じいちゃん風呂入ってこよ〜っと」


黄昏てる私を残し、おじいちゃんはお風呂に行ってしまった。


もう耳に届くのは、秋の虫の音。





「…っ」


…ん?


虫の音に混じり、微かに人の声がした。


深く考えずに、背伸びして塀の外を見た。


…そしたら…見たくないものを見てしまった。


「タケルくん…」


茜先輩とタケルが


キス、してた。

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