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恋花火
第14章 My darling
翌日


その日は文化祭のため授業がなく、丸一日文化祭の準備に当てられている日だった。


そんな事頭からすっぽ抜けていた私は、今日はジャージ着用なのに忘れてきたという…


おかげでみんな長袖長ズボンなのに、私だけ半袖短パン…


「おまえ寒くねーの」

「やる気出しすぎ 笑」

「どんだけ張り切ってんだ」


クラスメイトにからかわれながらお化け屋敷の準備。


見渡してみると、半袖は私しかいない……まるで極度の暑がりみたいになってる。


「寒っ!」


それもそのはず、季節はもう秋真っ盛り。むしろ、冬真近。


なのにお昼はジャンケンで負けて、クラスメイトの飲み物を調達しに購買へと走った。


全校生徒、みな長袖やセーター着用の中、ひとり半袖。ああ、視線が痛い…。


教室へ戻る途中の渡り廊下を走っていたら、両手いっぱいに抱えていたジュースをばらまいてしまった。


なんで私ってなにもないところでつまずくんだろう……


一生懸命拾っていたら、「これ最後のひとつだよ」って、差し出してくれた人がいた。……それも、爆笑しながら。


「陸先輩…また笑ってるし…」


うははって爆笑してる陸先輩。一体どこらへんから見られていたんだろう?一瞬で顔がカァッと熱くなる。


「なんかの罰ゲーム?笑」

「いや、これは、あのー」

「ジャージ忘れたんでしょー」


見抜かれてる。笑


「ほんとおもしれー」


今度は優しい笑顔をくれた。罰ゲームどころかこれはご褒美です。笑


突然の遭遇に照れまくっていたら、陸先輩は着ていたジャージを脱ぎ始めた。


「これ着てて。」

「え!?」


一瞬で着せられて、首元までファスナーを閉められた。


「いいですよ!先輩寒くないんですか!?」

「わかってねーな」

「なにがですか!?」

「俺のものってこと。アピール開始。」


先輩は私の胸元、"相原 陸"って刺繍されてる部分を指で指した。


そしてニッと笑うと、じゃあねって去って行った。


私はそんな陸先輩にまた、骨抜きに……


「おい!おっせーよ松下」

「あーごめん。」


もう誰の声も耳に入らなくて、私はヘナヘナと教室の隅に腰を下ろした。




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