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やさしいんだね
第5章 鮮血と赤箱
 ――――汚いおじちゃんだったよ。ボクが痛がるとね、おちんちんが硬くなるんだ。でもね・・・ボク、嫌じゃなかったんだ。そのおじちゃんはね、嘘言わないんだ。ボクと気持ちいいことをしたいだけなの。3回も飲んだから帰りの車の中で吐いたんだよ?へへ・・・でもボクの具合がよくなったあとお兄ちゃんがミニストップに寄ってソフトクリームを買ってくれてさ。お店の中で一緒に食べたんだよ。嬉しかったな。だってお兄ちゃんとお外で一緒に過ごすの、それが初めてだったから。・・・最後でもあったけど。


 作り笑顔を浮かべたままの千夏が背中に手を伸ばし、ワンピースのファスナーに手をかけたところで小百合はやっと気付き、慌てて千夏を止めた。

 そこで小百合の記憶は完全に途切れている。
 千夏の声だけを残して。



 ――――ボク、しあわせな人生だったな。



「たぶん」



 ――――アキラお兄ちゃんのこと、よろしくね。



「君にとってはどうだっていい話になると思うけれど」



 ――――これからボクの代わりに夜はアキラお兄ちゃんと一緒に寝てあげて。ボクがいつもしてたみたいに胸のとこをトントンしてあげて欲しいんだ。え?なんでって?それはね・・・。



「俺は今日、君の姿を見て思い出したことがある」

 
 ――――アキラお兄ちゃんってね?そうしてあげないと眠れないんだよ。えへへ、2人だけの秘密だったのにばらしちゃった。


「その昔、学生時代の先輩と飲みに行った時のことだ。ちなみにまだ20代の頃の話だ」



 ――――なんで言っちゃったんだろ・・・。だれにも言うつもりなかったのにな。



「当然だが俺は若かった。君が知るか知らないかはどうだっていいことだが20代の男という生物は平均的には全身に血液でなく精液が流れているといっても過言でない。無論俺も同じだった」



 ――――小百合も、ボクと同じだからかな?えへへ・・・わかんないや・・・。







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