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やさしいんだね
第5章 鮮血と赤箱
 八田はハンドルを握りながら片手で運転席の窓ガラスを下げると、ダッシュボードから煙草のケースを取り出した。
 エアコンの通風口には無香料のファブリーズが設置されているが、努力虚しく、車内には煙草の臭いが染みついてしまっていた。


「俺は汗を滴らせながらもババアの手招きに従った。プレイ内容について詳細なことは割愛するが、ひとつ言えることは、様々な必然手順を経て俺の上に跨ったババアを俺は甘んじて受け入れようとした、ということだ。しかしババアはじきに顔をしかめながら俺に“ニイちゃんごめん、痛くてどうしても入らないから口でするわね”と俺に述べた。無論、思うところはあった。しかし俺は例の如くイイッスヨと答えるしかなかった。なぜなら、このババアも何か事情があるからこんな年になってまでこんな仕事をして働き、賃金を得ているのだ・・・と、不本意ながらもババアに対して同情心が湧いたからだ。終了後俺はえびす顔の先輩を心底恨めしく思いながら肩を並べて店を出、JRの改札で別れて家路についた。赤い羽根共同募金に1万2千円寄付したと思えば、晴れ晴れしい気持ちでもあった。けれど、俺が未だに某兄弟の兄がテレビに出ているとすぐさまチャンネルを変えてしまうクセがついたのは、某兄弟の兄の顔を見るとあのババアのことを自動的に思い出してしまうためだ。要するに何が言いたいのかというと」


 小百合が静かに息を吐くと、バックミラー越しに後部座席に二台並べて設置されたチャイルドシートが見えた。


「不本意ながら、俺は君の鞄の中を見た。なぜそのようなプライバシー侵害行為を俺がとったのか説明すると、君の母親に何度連絡しても電話がつながらなかったせいだ。だから、君を迎えに来れるような人物が他にいないか、君の所有物のなかから探し出して一刻も早く連絡をする義務が俺にはあったからだ。けれど君のスマートフォンの電源は切れてしまっていたし、仮に電源が入っていたところで、ガラケーユーザーの俺にその扱い方が分かったとは到底思えない。つまるところ俺は必然的に行き着いた君の手帳を開き、その中のアドレス欄に何らかの連絡先が記載されていないか探す、という実にアナログな方法をとった。残念ながら平成生まれの君にはアドレス欄に連絡先を記載するという習慣はなかったようで、何の成果も得られなかったことに関しては無駄な労力であったと自負している」
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