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やさしいんだね
第6章 他人の快楽は夕刻の改札で
 ソンは風呂場へ向けるはずの足をパソコンデスクへ向けた。
 そして椅子を引き、ウィンドウズを起動する。

「・・・なにしてるの?」

 遮光カーテンの隙間から漏れるわずかな光が菩薩如来を照らし出している。

「なにって・・・どうせお前、今日はどこも行かずに1日じゅうグースカ寝くさるんだろ?」
「だからパソコン見るの?」
「あぁ」
「どうせまた千夏の動画でヌクんでしょ?」
「どうだっていいだろ」

 小百合は八田から与えられた彼の妻のものである真新しいショーツを脱ぎ捨て床に落とすと、キーボードを操るソンの膝の上に無理矢理腰を下ろした。

「・・・ねぇ、もうひとつ聞いてもいい?」

 眉間に皺を寄せるソンの首筋に腕を回し、煙草くさい唇に舌を這わせる。

「千夏や私にしたみたいなこと、ママにもしてたの?」

 先端に雫を浮かべはじめたモノを握り上下に擦ると、ソンは諦めた様子でため息をつき、背もたれに深くもたれるとハハッと肩を震わせた。

「まさか。妹にあんなこと、死んでもできっこねぇよ」

 

 ・・・じゃあどうして、私と千夏には出来たの?



 小百合はソンが自分の手のひらの中に射精したあとも、尋ねることは出来なかった。



「やっぱり、遊びに連れてって」



 ソンが硬さを崩し始めた自身の先端を丸めたティッシュで拭ったとき、小百合は手のひらを汚したままぽつりと呟いた。
 

「シーがいい。その前にイクスピアリに寄ってさ、新しい服買ってよ。ご飯も何か美味しいもの食べたい。昨日言ったよね?今日は全部あんたの奢りだって」 


 
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