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やさしいんだね
第6章 他人の快楽は夕刻の改札で
「服にメシだぁ?」
ソンはスウェットを引き上げると、片眉を上げながら小百合を睨み付けるように見つめた。
「奢りったって・・・ちょっとくらい遠慮しろよ!相変わらずかわいくねーなぁ」
「だって全部奢りって言ったじゃん」
「言ったよ、言った。だからチケット代はもちろん俺が出すし?メシくらいは食わせてやるけど・・・でもなんで俺がお前に服まで買ってやんなきゃなんねーんだよ。意味わかんねぇ」
「だって・・・こんなダサイ服でシーに行けるわけないじゃん」
「はぁ?じゃあ制服着てけばいーだろ」
「お尻が汚れてるもん」
小百合の手のひらから精液が零れ落ち、太ももに垂れる。
ソンは深くため息をついてから後頭部を掻き、そして大きくあくびをした。
「じゃあ・・・ヒカルのを着てけばいいだろ。いっぱいあんだから」
ソンは親指で後ろを指した。
見れば、ソンのカラフルな肩越しに千夏の部屋へ続く廊下のドアが見えた。
「まだなんも手ぇつけてねぇから。好きなの着てけよ」
それだけ言うと、ソンは首を左右に捻りながら今度こそ風呂場へと足を向けた。
小百合はしばらく手のひらを叔父が放った精液で汚したままにしていたが、じきに立ち上がりカウンターキッチンの中の蛇口で洗い流すと、静かに廊下へ続くドアを開いた。
千夏の部屋は玄関のすぐ傍にある。
いや、千夏の部屋だった、といったほうがいいのだろうか。
考えながらノブを引く。
―――さゆり!ボクの部屋でいっしょに遊ぼ!
背後から千夏の無邪気な少年らしい声が聞こえた気がして、ハッと振り向いてみたが、背後に存在するのは風呂場から漏れる水しぶきの音と、洗面所に煌々と灯るLED電光の明かりだけだった。
ガチャリ。
軽い音を立ててドアが開く。
6畳ほどの空間はピンク色で満ちている。
チェック柄のカーテン、ハート柄のベッドカバー、ふわふわしたマイメロのラグ、お姫様みたいなチェストと、それと揃えのドレッサー。
千夏の部屋はソンの言葉通り、主を失った日のまま時間を止めていた。
小百合が歩を進めると、フローリングの上をうすい埃がふわっと舞った。
ソンはスウェットを引き上げると、片眉を上げながら小百合を睨み付けるように見つめた。
「奢りったって・・・ちょっとくらい遠慮しろよ!相変わらずかわいくねーなぁ」
「だって全部奢りって言ったじゃん」
「言ったよ、言った。だからチケット代はもちろん俺が出すし?メシくらいは食わせてやるけど・・・でもなんで俺がお前に服まで買ってやんなきゃなんねーんだよ。意味わかんねぇ」
「だって・・・こんなダサイ服でシーに行けるわけないじゃん」
「はぁ?じゃあ制服着てけばいーだろ」
「お尻が汚れてるもん」
小百合の手のひらから精液が零れ落ち、太ももに垂れる。
ソンは深くため息をついてから後頭部を掻き、そして大きくあくびをした。
「じゃあ・・・ヒカルのを着てけばいいだろ。いっぱいあんだから」
ソンは親指で後ろを指した。
見れば、ソンのカラフルな肩越しに千夏の部屋へ続く廊下のドアが見えた。
「まだなんも手ぇつけてねぇから。好きなの着てけよ」
それだけ言うと、ソンは首を左右に捻りながら今度こそ風呂場へと足を向けた。
小百合はしばらく手のひらを叔父が放った精液で汚したままにしていたが、じきに立ち上がりカウンターキッチンの中の蛇口で洗い流すと、静かに廊下へ続くドアを開いた。
千夏の部屋は玄関のすぐ傍にある。
いや、千夏の部屋だった、といったほうがいいのだろうか。
考えながらノブを引く。
―――さゆり!ボクの部屋でいっしょに遊ぼ!
背後から千夏の無邪気な少年らしい声が聞こえた気がして、ハッと振り向いてみたが、背後に存在するのは風呂場から漏れる水しぶきの音と、洗面所に煌々と灯るLED電光の明かりだけだった。
ガチャリ。
軽い音を立ててドアが開く。
6畳ほどの空間はピンク色で満ちている。
チェック柄のカーテン、ハート柄のベッドカバー、ふわふわしたマイメロのラグ、お姫様みたいなチェストと、それと揃えのドレッサー。
千夏の部屋はソンの言葉通り、主を失った日のまま時間を止めていた。
小百合が歩を進めると、フローリングの上をうすい埃がふわっと舞った。