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初音さんの二十日間
第10章 青春への乱入!
「狭くてごめんね。肩出ちゃうから遠慮しないでくっついていいよ」

繊細な骨格に大きな瞳の瑞希くんは、近くで見ても可憐な少女みたい。フワッとしたウイッグをかぶせれば私が想像した『かたやまみずきちゃん』たちよりも、ずっとしっくりと柊二くんの隣におさまる気がしてきちゃう。神様はこの子が生まれる時、性のチョイスを間違えてしまったのだろうかね。


「初音さん、いろいろとごめんなさい」

「ん?」

「すごく迷惑かけてるのに…親切にしてくれて、ありがとうございます」

「なんのチカラにもなれなかったけどね」

「いいえ、先輩との事、聞いてもらえて嬉しかったです。初音さんって、いい人ですね」

恋をしている時の揺れる気持ちを、誰にも言えなかった瑞希くん。でも、聞いてあげたのが私なんかで良かったのだろうか。

「いい人なんかじゃないよ」

「え?」

「…なんでもない!寝よ寝よ」

失恋した瑞希くんに取って代わろうとしている私が、いい人な訳がない。



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