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初音さんの二十日間
第12章 口は幸いの元?
「課長?それはそのぅ?」
いつも部下の顔色を窺うような小者課長かと思ったが、ニヤリと不適な笑みを丸々とした顔にたたえ
「君の、あー、いざという時に弁の立つ度胸の良さと押しの強さね、営業向きだと思っていたんだよねぇ。部長も同じことを仰っていたよ」
「お、恐れ入ります…」
「あー、春になると入社六年目だろう? そろそろ急な不在で業務に支障をきたす職務に就いてもいい頃だろう?」
とんだタヌキだ!
引っ込んだ冷や汗がまた吹き出してきたが、これは夏希の言うスキルアップへの転機だろうか?
「いきなり商談しろだなんて事にはならないから大丈夫。僕の説明に足らない点をフォローしてくれるような気持ちでいてくれればいいからね。少しずつ勉強していこう」
峰山係長の優しい言葉と
「…はぁ」
「結城さんの親心は、あーうん、僕も経験者なのでよくわかるけどね、あー、これは業務命令だからね、有給の件は了承してね。ごめんね」
課長の憎々しいほど艶やかなほっぺたに絆されて、私は「かしこまりました」と言うしかなかった。
いつも部下の顔色を窺うような小者課長かと思ったが、ニヤリと不適な笑みを丸々とした顔にたたえ
「君の、あー、いざという時に弁の立つ度胸の良さと押しの強さね、営業向きだと思っていたんだよねぇ。部長も同じことを仰っていたよ」
「お、恐れ入ります…」
「あー、春になると入社六年目だろう? そろそろ急な不在で業務に支障をきたす職務に就いてもいい頃だろう?」
とんだタヌキだ!
引っ込んだ冷や汗がまた吹き出してきたが、これは夏希の言うスキルアップへの転機だろうか?
「いきなり商談しろだなんて事にはならないから大丈夫。僕の説明に足らない点をフォローしてくれるような気持ちでいてくれればいいからね。少しずつ勉強していこう」
峰山係長の優しい言葉と
「…はぁ」
「結城さんの親心は、あーうん、僕も経験者なのでよくわかるけどね、あー、これは業務命令だからね、有給の件は了承してね。ごめんね」
課長の憎々しいほど艶やかなほっぺたに絆されて、私は「かしこまりました」と言うしかなかった。