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初音さんの二十日間
第13章 初音さんの二十日目
「食ったことないもんばっか並んでるー!」

明るい声に安堵しつつシャンパンを開けた。

「うわ! なにこれオシャレー!」

「ふふふん、バブリーなシャンパンを買ってしまったよ」

グラスの底からキラキラと昇っていく金色の泡は、春に向かって踊る私の心のようで。

「乾杯しよ!」

うまーー!とはしゃぐ柊二くんに、今日の成果を聞いてみる。

「んー、わかんないなぁ」

と、今までの自信はどこ行った的なトーンが思いがけず、私は無意識にグラスの脚を握りしめた。

「頭の中身を全部こぼしてきたつもりだけど…受けたみんな同じだろうし、わかんないよね」

「それはそうだろうけど…」

「試験のあとね、大学の周りをぐるぐると歩きながら、良からぬ結果を想像して震えちゃったんだよね」

「ええ?」

「落ちたらどうするかってこと、今まで考えてなくってさー。どうしようかなーって」

「落ちない!」

「どうして言い切れるの?」


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