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初音さんの二十日間
第3章 初音の心は母心
終業時間寸前に降ってくる仕事もなく、至って速やかに会社を脱出できた私は、スーパーでレジの行列に並んでいた。

滅多に料理をしないせいで、何を買えばいいの?二人分の分量ってどれくらい?と、頭にハテナを浮かべながら放り込んだ、カゴいっぱいの食材が重い。

順番が来るのを待ってる間にスマホをチェックする。

山辺からの返事はなかった。

多くを語らずとも察してくれた、と手前勝手な解釈をして、柊二くんからのメッセージを開く。

ーーお疲れさまでーす!宅配便来たんで受け取っちゃいました!

おおお、それはありがたい!
褒美にプリンでも買ってあげればよかった。

初めての東京で、知らない部屋で、柊二くんが一日どう過ごしていたのか。しっかり勉強していたのかどうか。今日は寒かったけど、暖房ちゃんとつけていただろうか。

ムクムクと保護者心が沸いてくる。

腹を空かせた育ち盛りが待っているの!
レジのお姉さん、がんばって!



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