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初音さんの二十日間
第3章 初音の心は母心
「まぁね、息子の俺には不仲を悟られないようにしてるみたいなんだけどさ。ほら、期待の受験生だし。でも俺も子供じゃないし、雰囲気でわかるっつーの」

ニカーっと笑って見せたけど、あんまりうまくいってないよ、その笑顔。

「別れたいなら別れちゃえばいいんだよ」

「そんなこと言っちゃダメなんじゃない?息子としてはさ」

「無理っすよ、修復とかさ」

「でも…、独身の私が言うのも変だけど、夫婦の絆ってそんなに簡単に壊れるもんじゃないでしょ」

無理無理!と首を振って柊二くんはお皿のニンジンをつついた。
お行儀が悪い!と注意したいところだけど、私は何も言えずにいた。

「お袋ね、オトコいんの」

「え?」

「俺には知られてないって思ってるみたいだけど、見ちゃったんだよね」

「な、なにを?」

なんだか聞くのが怖い。
ニコニコと分別をわきまえたように見えるこの子が抱える闇。私に受け止められんのかな。

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