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初音さんの二十日間
第3章 初音の心は母心
「というわけで、ここに逃げてきたのです。……って、初音さん!なんで泣いてんの!?」

容姿端麗で頭脳明晰で…なんの不自由も不満もないように見えたのに、そうじゃないじゃん。揃ってなんかいないじゃん。

人懐っこくて優しくて、そんなこの子にこんな思いをさせてる親の勝手さに腹が立って仕方がなかった。

「泣かないでよー」

「だってさぁ…」

「余計な話を聞かせてしまった感で俺も泣いちゃうから、泣かないでください」

「もう…もう……あんたウチの子になりな!」

「ええっ!?」

「受験おわっても帰るな!私があんたひとりぐらい養ってやるから!」

「ちょ……、男らしいなぁ初音さんって」

鼻声で言う柊二くんの顔を見たらまた泣けてきた。

「はい、ティッシュ。そんなに泣いたら明日会社でなんか言われちゃいますよ?」

ザザザンと3枚引っつかんで

「わかってる!」

突き返した。
ふたり揃って鼻をかむ。



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