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初音さんの二十日間
第4章 やらしさと、切なさと、後ろめたさと
逃げるようにして会社をあとにし、駅のトイレで化粧を直した。情事のあとの気だるく潤んだ雰囲気を消したくて、パフを重ねる。

ーー会社を出るのが遅くなりました。帰宅は7時過ぎると思います。

後ろめたくて申し訳なくて、柊二くんへのメッセージが硬い言葉になってしまう。
ごめんね、初音さんはダメ人間だ。
あなたを苦しめるお母さんと同じことを、たった今してきてしまいました。あなたが待っているというのに。

ーーりょーかい!慌てず帰ってきてくださーい!

慌てるどころか進みたがらない足を無理矢理動かしてくれるのは、腹を減らしてるであろう柊二くんの存在で、そのジレンマに胃が痛んだ。

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