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初音さんの二十日間
第4章 やらしさと、切なさと、後ろめたさと
「ただいま、でございます…」
知らない人の家にあがるような神妙さでドアを開けると、ホワイトソースの良い香りがする。
「あー、初音さん、おかえりなさーい」
「ごめんね、遅くなった」
「いーえ、お疲れさまです!」
私からマフラーやコートを甲斐甲斐しく受けとる柊二くんの顔が見れない。そんなに世話やいてもらう資格ないのだよ、初音さんには。
暖房で暖められたリビングには、サラダとバケットが用意されている。
「待ってる間に作っちゃった。今日は寒かったので、シチューなのです」
「……ありがとうね」
「なんの、弁当のお礼です!すげー美味かったー!」
「焦げた玉子焼きでいいなら毎朝作るよ」
「マジでー?お焦げ上等!」
こんな私のあんな弁当を喜んでくれて、気遣ってくれて。
涙が出そうで
「手、洗ってくる!」
洗面所へ駆け込んだ。
そのあとを幸せな香りが追ってくる。
私は勢いよく蛇口をひねった。
知らない人の家にあがるような神妙さでドアを開けると、ホワイトソースの良い香りがする。
「あー、初音さん、おかえりなさーい」
「ごめんね、遅くなった」
「いーえ、お疲れさまです!」
私からマフラーやコートを甲斐甲斐しく受けとる柊二くんの顔が見れない。そんなに世話やいてもらう資格ないのだよ、初音さんには。
暖房で暖められたリビングには、サラダとバケットが用意されている。
「待ってる間に作っちゃった。今日は寒かったので、シチューなのです」
「……ありがとうね」
「なんの、弁当のお礼です!すげー美味かったー!」
「焦げた玉子焼きでいいなら毎朝作るよ」
「マジでー?お焦げ上等!」
こんな私のあんな弁当を喜んでくれて、気遣ってくれて。
涙が出そうで
「手、洗ってくる!」
洗面所へ駆け込んだ。
そのあとを幸せな香りが追ってくる。
私は勢いよく蛇口をひねった。