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初音さんの二十日間
第4章 やらしさと、切なさと、後ろめたさと
「そうだね、うちにはシチュー皿がなかったよね」
ほかほかと湯気の立つホワイトシチューが、ラーメンどんぶりに盛られてテーブルに乗っていた。
斬新かつ愉快な盛り付けに頬が緩む。
「ふたつ揃ったイイカンジの器が、これでした!」
ニンジンのオレンジ、ブロッコリーの緑、そして器のふちに描かれたぐるぐる渦巻きの赤。シュールで楽しい食卓に思わず笑ってしまう。でも、いい匂い。美味しそう。
「いただきます」
ジャガイモが成すトロミとは違う、濃厚で風味豊かなクリームの滑らかさが優しく染みて、カラダ中のこわばりが緩んでいく。
「美味しい!」
「ふふふん、今日の隠し味は、労い&ホワイトチョコです」
「へええ、チョコレート!」
「ほんのちょっとね」
「柊二くん、料理も出来る男子なんだねぇ。敗北感で倒れそうだわ」
「んなことないっす。でも初音さん、マジで倒れそうな顔してた。会社で何かありました?」
「……」
なんにもないよ!と返そうとする前に、後悔の雫がぽとりと落ちていた。
ほかほかと湯気の立つホワイトシチューが、ラーメンどんぶりに盛られてテーブルに乗っていた。
斬新かつ愉快な盛り付けに頬が緩む。
「ふたつ揃ったイイカンジの器が、これでした!」
ニンジンのオレンジ、ブロッコリーの緑、そして器のふちに描かれたぐるぐる渦巻きの赤。シュールで楽しい食卓に思わず笑ってしまう。でも、いい匂い。美味しそう。
「いただきます」
ジャガイモが成すトロミとは違う、濃厚で風味豊かなクリームの滑らかさが優しく染みて、カラダ中のこわばりが緩んでいく。
「美味しい!」
「ふふふん、今日の隠し味は、労い&ホワイトチョコです」
「へええ、チョコレート!」
「ほんのちょっとね」
「柊二くん、料理も出来る男子なんだねぇ。敗北感で倒れそうだわ」
「んなことないっす。でも初音さん、マジで倒れそうな顔してた。会社で何かありました?」
「……」
なんにもないよ!と返そうとする前に、後悔の雫がぽとりと落ちていた。