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初音さんの二十日間
第5章 週末の爆弾
血相を変えて開けたドアの向こうで、柊二くんは静かに勉強していた。
折り畳み机に向かい問題集を開いている。
「よかったぁ、生きてた」
が、様子がおかしい。
問題集の一点を見つめ、動かない。右手に握ったシャーペンはノートの上10センチのところで宙に浮き、寝癖が揺れる気配もない。
大丈夫?と声をかけようとすると、
「わかった!!」
止まっていた右手が勢いよくノートの上を滑り出し、あっという間に数式が並んでいく。
私はそっと後ずさり、ドアを閉めて息を吐いた。
ひゃー、すごい集中力!
なんじゃありゃ!
定期考査は一夜漬け、センターで撃沈し、そのあとの一般入試は安全圏オンリーで受験を終えた私には備わってない能力だわ。あんなに集中して、血管切れなきゃいいけど。
ドアにへばりついて様子をうかがう私はまるで、夕鶴の与ひょうだ。
何か美味しいお昼ごはんでも考えようか。
邪魔をしないよう、抜き足差し足でリビングへ戻った。
折り畳み机に向かい問題集を開いている。
「よかったぁ、生きてた」
が、様子がおかしい。
問題集の一点を見つめ、動かない。右手に握ったシャーペンはノートの上10センチのところで宙に浮き、寝癖が揺れる気配もない。
大丈夫?と声をかけようとすると、
「わかった!!」
止まっていた右手が勢いよくノートの上を滑り出し、あっという間に数式が並んでいく。
私はそっと後ずさり、ドアを閉めて息を吐いた。
ひゃー、すごい集中力!
なんじゃありゃ!
定期考査は一夜漬け、センターで撃沈し、そのあとの一般入試は安全圏オンリーで受験を終えた私には備わってない能力だわ。あんなに集中して、血管切れなきゃいいけど。
ドアにへばりついて様子をうかがう私はまるで、夕鶴の与ひょうだ。
何か美味しいお昼ごはんでも考えようか。
邪魔をしないよう、抜き足差し足でリビングへ戻った。