この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初音さんの二十日間
第5章 週末の爆弾
地下鉄からJRに乗り換えて大学のある駅の改札をくぐると、安さとボリュームを売りにした食堂や小さなカフェ、ディスカウントストアに不動産屋、学生街らしく雑多な店が連なっている。
どの店先も若者で賑わい、まるで文化祭に紛れ込んだような不思議な熱気のある街だ。
「おー、こういう雰囲気、いいね!」
「人が多いっすね。目が回りそう」
「なに言ってんの!春からここに毎日通うんだぜ」
「受かったらね」
「受かるんでしょ?」
隣を見上げると、メガネを中指で押し上げて「ふふっ」と不敵に笑う顔と目が合う。
「ふふふふっ」
柊二くんを真似して、私も中指でメガネを押し上げた。伊達メガネだけど。
若作りメイク以前に、目元の腫れが治まらなかったのであるよ。
ぷらぷらと歩いていくと広大なキャンパスが見えてくる。私たちは外周をぐるりと回って正門を目指した。
週末だが講義があるのかゼミやサークル活動なのか、行ったり来たりする学生の中で、私たちは立ち止まった。
もう一度言ってみる。
「春からここに通うんだね」
「もちろん」
不敵な笑みは変わらない。
うん、大丈夫だ。きっとそうなる。
私は仁王立ちで創始者の銅像を指差し
「待ってろよ!!春んなったらこのイケメンが乗り込んでくるからな!!」
と、宣言しながら、「どうか宜しくお願いします」なんて心の中では土下座で祈ったりしていた。
どの店先も若者で賑わい、まるで文化祭に紛れ込んだような不思議な熱気のある街だ。
「おー、こういう雰囲気、いいね!」
「人が多いっすね。目が回りそう」
「なに言ってんの!春からここに毎日通うんだぜ」
「受かったらね」
「受かるんでしょ?」
隣を見上げると、メガネを中指で押し上げて「ふふっ」と不敵に笑う顔と目が合う。
「ふふふふっ」
柊二くんを真似して、私も中指でメガネを押し上げた。伊達メガネだけど。
若作りメイク以前に、目元の腫れが治まらなかったのであるよ。
ぷらぷらと歩いていくと広大なキャンパスが見えてくる。私たちは外周をぐるりと回って正門を目指した。
週末だが講義があるのかゼミやサークル活動なのか、行ったり来たりする学生の中で、私たちは立ち止まった。
もう一度言ってみる。
「春からここに通うんだね」
「もちろん」
不敵な笑みは変わらない。
うん、大丈夫だ。きっとそうなる。
私は仁王立ちで創始者の銅像を指差し
「待ってろよ!!春んなったらこのイケメンが乗り込んでくるからな!!」
と、宣言しながら、「どうか宜しくお願いします」なんて心の中では土下座で祈ったりしていた。