この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
初音さんの二十日間
第5章 週末の爆弾
地下鉄からJRに乗り換えて大学のある駅の改札をくぐると、安さとボリュームを売りにした食堂や小さなカフェ、ディスカウントストアに不動産屋、学生街らしく雑多な店が連なっている。
どの店先も若者で賑わい、まるで文化祭に紛れ込んだような不思議な熱気のある街だ。

「おー、こういう雰囲気、いいね!」

「人が多いっすね。目が回りそう」

「なに言ってんの!春からここに毎日通うんだぜ」

「受かったらね」

「受かるんでしょ?」

隣を見上げると、メガネを中指で押し上げて「ふふっ」と不敵に笑う顔と目が合う。

「ふふふふっ」

柊二くんを真似して、私も中指でメガネを押し上げた。伊達メガネだけど。

若作りメイク以前に、目元の腫れが治まらなかったのであるよ。

ぷらぷらと歩いていくと広大なキャンパスが見えてくる。私たちは外周をぐるりと回って正門を目指した。

週末だが講義があるのかゼミやサークル活動なのか、行ったり来たりする学生の中で、私たちは立ち止まった。

もう一度言ってみる。

「春からここに通うんだね」

「もちろん」

不敵な笑みは変わらない。
うん、大丈夫だ。きっとそうなる。

私は仁王立ちで創始者の銅像を指差し

「待ってろよ!!春んなったらこのイケメンが乗り込んでくるからな!!」

と、宣言しながら、「どうか宜しくお願いします」なんて心の中では土下座で祈ったりしていた。



/172ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ