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初音さんの二十日間
第5章 週末の爆弾
「渋谷すげえええ!本物だああ!」

はしゃぐ柊二くんに付き合ってスクランブルを二往復し、センター街からBunkamuraに抜けたあと、109の前で写真を撮っているところで夏希から着信があった。

「おつかれー」

『おう、改札出たけど今どこよ?』

「マルキュー前で写真撮ってる。お連れ様」

『ぷっ、可愛いねぇ。んじゃ、待ってるわ』

「了解」

切った途端に肩を抱かれ、驚いた顔のまま柊二くんのスマホにツーショットが収まった。

「なにっ?私いますごい変な顔しちゃったんですけどっ」

「ふへへ、記念写真♪」

上がってる。テンション上がってるよ、この子。
そんな私も不意に顔を寄せられて、心拍数がはね上がってる!

「渋谷、楽しい?」

「うん!テレビとか映画で見た景色ん中にいるってワクワクする!」

可愛いなぁ、もう。

学生時代、毎日のように通ったこの街の駅前が再開発によって大きく変わろうとしていることに、ワクワクよりも寂しさを感じるのは年齢のせいなのかな。

「夏希が着いたっていうから、お店に移動すっぞ」

「夏希おねえさん♪どんな人だろーなぁ」

浮かれ男子を引きずって、道玄坂を上っていく。


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