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初音さんの二十日間
第7章 与ひょうの恋
「落ち着け私」

まずはこの頭の中で鳴ってる鐘を止めるため頭痛薬を飲む。で、コーヒー淹れよう。

コーヒー出来たらソファーに座ってゆっくり昨日の事を思いだそう。


そうだ、家に着いたら眠くて眠くて。
でも水が飲みたくて。

飲んだのかな?
いや、寝ちゃったのかもしれない。

夢かも。
口移しとか、ありえないでしょ。

だけど、やけに生々しい感触が残っているような。
水が冷たくて美味しくて、そのあとの柔らかいものが暖かくて気持ちよくて。

あの柔らかいものは唇で、暖かいものは舌だった。

リアルな、夢?
チクチクと刺さった嫉妬が見せた淫夢ってやつ?
やだ!


そう、嫌だったんだ、彼女がいるなんて。
柊二くんが私以外に懐くなんて。

10才も年下のくせに、高校生のくせに、マシュマロだったくせに。私と離れたくないって泣いたくせに。初恋だって言ったくせに。

私が泣いたときのように、彼女の頭をぽんぽんしてあげてるんだ。いや、それ以上の事をしてあげてるんだ、きっと。

私よりもずっと若い可愛い女の子の髪を撫で、肩を抱き、私の夢よりももっともっと情熱的なキスをする柊二くんが浮かんでくる。

チクチクなんて可愛いもんじゃない、ズキズキした痛みに頭を抱えた。


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