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初音さんの二十日間
第8章 鬼の居ぬ間の
「あー、結城さんね、ここのこの数字ね、違ってるよねぇ」
メタボ課長のデスクに呼ばれて見直した数字は、確かに桁が違っている。
「すみません。すぐ作り直します」
「あー、一桁違うとかね、君は入社何年だっけ?新入社員じゃないんだからね。あー、これパワハラになっちゃう?」
うぜぇ。
確かに新入社員でもやらないようなミスをしてしまうほど、私は上の空だった。
帰りたい、うちに。
今朝はみぞれが落ちてきそうなほど寒かった。
居候部屋にリビングのホットカーペットを移動してあげればよかった。寒くて集中できないんじゃないか。
それともまた図書館にいるのだろうか。
て言うか、実家に帰ってしまってるんじゃないか。
ずーーーん…。
頭の中にひろがった黒雲が、みぞれどころか猛吹雪をまき散らしている。
いやだいやだいやだ。
嫌われてもいいから、どうか帰らないで。
二度と困らせるような事はしない。ただの宿泊所だと思ってくれてもいい。
無事に受験を終えるまでは私に面倒みさせてほしい。
「あー、結城さんね、まだかな?あー、急いでるんだけどね」
ああ、うるさい!
私も急いで帰りたいんじゃい!
メタボ課長のデスクに呼ばれて見直した数字は、確かに桁が違っている。
「すみません。すぐ作り直します」
「あー、一桁違うとかね、君は入社何年だっけ?新入社員じゃないんだからね。あー、これパワハラになっちゃう?」
うぜぇ。
確かに新入社員でもやらないようなミスをしてしまうほど、私は上の空だった。
帰りたい、うちに。
今朝はみぞれが落ちてきそうなほど寒かった。
居候部屋にリビングのホットカーペットを移動してあげればよかった。寒くて集中できないんじゃないか。
それともまた図書館にいるのだろうか。
て言うか、実家に帰ってしまってるんじゃないか。
ずーーーん…。
頭の中にひろがった黒雲が、みぞれどころか猛吹雪をまき散らしている。
いやだいやだいやだ。
嫌われてもいいから、どうか帰らないで。
二度と困らせるような事はしない。ただの宿泊所だと思ってくれてもいい。
無事に受験を終えるまでは私に面倒みさせてほしい。
「あー、結城さんね、まだかな?あー、急いでるんだけどね」
ああ、うるさい!
私も急いで帰りたいんじゃい!