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初音さんの二十日間
第9章 闘え!アラサー女!
こないだのように飲みすぎることなくほろほろといい気分に酔っぱらった私は、鼻唄を歌いながら夜空を見上げた。
真冬の月は空に開いた穴のように見える。
天国への脱出口みたい。
飄々と日々を過ごして見える柊二くんだって、受験のプレッシャーがないわけじゃないだろう。
早く出口にたどり着いて、サクラサク春へと脱出できるといいな。
その時は私にとって暖かい生活の終わりなわけで、それは寂しいことだけれど。
あの子に明るい未来が開けるならやっぱり嬉しいことで、その先もすっと隣にいられたらなおさら嬉しい…ことで。
「上を向いて歩きすぎ」
ハッとして視線を前方へ戻すと、月明かりに照らされた柊二くんが立っていた。
「酔ってコンビニアイスを買い占めてたら大変だから迎えに行こうかと」
「ざんねーん。手ぶらだよーん」
真っ直ぐ突きだした両手のひらを見て、クスッと笑う柊二くんがもうどうしようもなく愛しくて、そのままその手のひらで頬を包んだ。
「冷たっ」
「愛の裏返しを受けとりたまえ」
「このドSさんめ」
ポケットに入れられていた両手が腰に回され、ぐっと引き寄せられた。
真冬の月は空に開いた穴のように見える。
天国への脱出口みたい。
飄々と日々を過ごして見える柊二くんだって、受験のプレッシャーがないわけじゃないだろう。
早く出口にたどり着いて、サクラサク春へと脱出できるといいな。
その時は私にとって暖かい生活の終わりなわけで、それは寂しいことだけれど。
あの子に明るい未来が開けるならやっぱり嬉しいことで、その先もすっと隣にいられたらなおさら嬉しい…ことで。
「上を向いて歩きすぎ」
ハッとして視線を前方へ戻すと、月明かりに照らされた柊二くんが立っていた。
「酔ってコンビニアイスを買い占めてたら大変だから迎えに行こうかと」
「ざんねーん。手ぶらだよーん」
真っ直ぐ突きだした両手のひらを見て、クスッと笑う柊二くんがもうどうしようもなく愛しくて、そのままその手のひらで頬を包んだ。
「冷たっ」
「愛の裏返しを受けとりたまえ」
「このドSさんめ」
ポケットに入れられていた両手が腰に回され、ぐっと引き寄せられた。