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純の恋人
第5章 三人の正体

「純ちゃん、オレすぐ退院してくるから! そしたらさ、デートとかお泊まりとか好きなだけ出来るし!」
「はい。でも、退院したいからって無理はしないでくださいね」
「大丈夫大丈夫、オレこう見えても強い男の子だから」
イドさんは軽い言葉は、信用出来るのか出来ないのか。少し心配だけれど、私は頷いた。
「あ……そういえば、イドさん」
「ん?」
「イドさんって、本当はなんて名前なんですか? もう退院したんだし、教えてほしいです」
今まで聞きそびれていた質問を、私はとうとう訊ねてみる。イドさんも手を叩き、大きく頷きながら答えてくれた。
「そういえば、イドさんって呼ばれるの慣れちゃってたから忘れてた。そうだね、いつまでも偽名じゃ困るか」
イドさんの様子からすると、名前なんて通じればなんでも構わないのかもしれない。二人でいる時はそれでいいかもしれないけれど、たとえば病院でイドさんを探す事になったら不便だろう。まあ、イドさんなら名前より、髪の色の方がインパクトはありそうだけれど。
「オレの名前は――」
イドさんが口を開いた、その時。インターホンが鳴って、穏やかな空気を破った。

