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純の恋人
第5章 三人の正体
 
「国重さん、何もそんな言い方しなくても……」

「大丈夫だよ純ちゃん、オレは気にしてないから」

 気にしてない訳ないのに、なんだか申し訳ない。なのにイドさんの方が気を遣って、私の頭を撫でた。

「じゃ、オレ帰るからさ。名前は、また今度ね」

「……はい、ありがとうございます」

 イドさんは私の額にキスして、部屋から出て行く。国重さんが見舞いに来ていた頃からそうだけど、イドさんは国重さんが何者なのか、詳しく聞き出したりしない。我慢してくれてるのは分かる、でも聞かないでくれるのは助かっていた。何の関係か聞かれたら、事件の話まで漏らしてしまいそうだし。

 イドさんの気配がなくなると、国重さんはソファに座る。そして今までの空気なんか知らない顔で、持ってきた資料をテーブルに広げ始めた。

「国重さん、それは?」

「ああ、ストーカー容疑者の身元がはっきりしたから、纏めてきた。確かに、全員同じ高校の出だった」

 国重さんが事件以外に興味がない人なのは、私ももう分かっている。イドさんへのフォローは私がすればいいと割り切って、ひとまず事件に頭を切り替えた。
 
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