この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
純の恋人
第5章 三人の正体
テレビでは、ニュースキャスターが選挙について報道している。そういえば父も、選挙に出馬しているとか話していたっけ。年齢的にもう私も投票にいかなきゃいけないんだろうな、なんて思いながら見ていると、候補者の映像に度肝を抜かれた。
「これ……松永さん!?」
いつも着ていたスーツ姿だから、間違いない。沢山の人の前で演説する若い男性は、私にいつもお見舞いしてくれた松永さんだった。
『顔出しNGビジュアル系バンド「マスカレード」のリーダーとして人気を博した松永雅樹氏。アーティストから政治家への転身に、注目が集まっています』
「マスカレード……」
そして流れるのは、私が見た映像。ピンクのツインテールの女が歌う、ライブハウスの映像だった。
「松永 雅樹は、高校のOBだ。そして大学在籍中からバンドの『マスカレード』を結成し、リーダー兼マネージャーのような役割をしながら活動していたようだ。だが、半年前にバンドは無期限休止。政治家に転向したようだ」
どうやら松永さんは、後ろでドラムを叩いている男の人らしい。けれどマスカレードの映像は、皆仮面を付けているからいまいち分からない。