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純の恋人
第5章 三人の正体
「宮城 昌哉は高校時代から、お前を父親関連の事で叱咤激励していたらしいな。そして、宮城と松永は知り合いだ。お前達が繋がり、父親に牙を向くもの、それが何か」
「それが、マスカレード……だと?」
宮城さんは以前に、マスカレードの皆で祝おうと漏らしていた。私は慌てて寝室に駆け込むと、CDを一枚持って戻る。ジャケットに映るのは四人。二人の女性と、一人の男性、そして松永さんと紹介されていた、仮面の男性。
「……あの、もしかして私」
「信じられないだろうが、多分そうだろう。この女のどちらかが、お前なんだ」
信じがたい話だけど、そう考えれば辻褄が合う。高校時代、私が父と対立したきっかけは音楽。バンドなんて、あの父が認めるはずない。私は宮城さんに叱咤され、父と対立しても音楽の道を行くと決めた。
そして宮城さんや、高校のOBだった松永さんと結成したのが、マスカレード――
「……でも、じゃあ田中さんは? このバンド、男性は二人しかいないですよね」
田中さんも音楽が趣味、とは言っていたけれど、この推察なら彼だけ入る場所がない。