この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
純の恋人
第5章 三人の正体
それに女性のどちらかが私だとすれば、もう一人は誰なのか。同じバンドのメンバーだったなら、入院後に何かしらアクションがあってもおかしくはない。現に松永さんと宮城さんは、父に口止めされながらも来ていたんだし。一人だけ、しかも女性という、父から最も警戒されにくい立場の人が来ないのも不自然だ。
「そこまでは、まだ俺も分からない。何せこのバンドは、顔出しNGだ。公式の捜査ならともかく、ただの個人じゃ週刊誌程度の知識しか手に入らないからな」
ジャケットの四人は、ビジュアル系バンドだけあって、仮面に加えて化粧もばっちりしている。松永さんだって、テレビで言われなきゃ同一人物だとはとても分からなかった。もちろんもう一人の男の人が、宮城さんである保証もない。
「だがな、多分もう一人の男は宮城だぞ」
「え?」
「メンバーの名前、見てみろ」
国重さんは私からCDを奪い、中の歌詞カードを見せる。歌詞と共に書かれていたメンバーの名前に、私は背筋が寒くなる。
リーダー兼ドラムが、MⅡ。これは松永さんの芸名だ。イニシャルにMが二つ入るから、MⅡなんだろうか。