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純の恋人
第6章 マスカレード
奢りなんて気が引けるけど、ここで下手に遠慮したらまた空気が悪くなりそうだ。素直に頷けば、国重さんは深く頷く。
「それでいい。ガキが下手な遠慮をすれば、余計に苛つくだけだ」
「ガキじゃないです、私大人です」
「中身は中学生なんだろ、じゃあガキだ。まあ、大学生でも俺から見たらガキだがな」
「国重さんって、いくつなんですか? 結構いい年ですけど、奥さんとかは? 奥さんいるなら、一緒にご飯なんて怒られません?」
「それを言うなら、お前の『彼氏』はどうなんだ。俺は独り者だから怒る相手なんていないが、お前は浮気者扱いされるかもしれないぞ?」
そう言われてみると、私は返す言葉がない。その気はまったくない相手とはいえ、一緒にご飯はイドさんの許容範囲内なんだろうか。イドさんが嫌だと思うなら、控えるべきだ。
「……眉間にしわが寄ってるぞ、ガキ。こんな夕方に食事したくらいで怒る奴なんかいるか、ストーカーじゃあるまいし」
「でも、分からないじゃないですか。イドさんが少しでも嫌な思いをするのは、嫌です」
「まあ、心掛けとしては悪くないな。だが、お前一つ忘れていないか?」