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純の恋人
第6章 マスカレード
しばらくラーメンに夢中だったけれど、黙ってばかりなのも空気が悪い。雑談代わりに、私は事件について話す事にした。
「そういえば、明日なんですけれど」
「何かあるのか?」
「はい。お姉ちゃんが『まー君』って人と一緒に、私の過去について話に来てくれるそうです。私の人生は突飛だから信じられないだろう、と隠していたとか」
「その突飛、がマスカレードの事ならいいんだがな。あの女二人のどちらがお前なのか、わざわざ事務所へ確認に行かなくても済む」
国重さんは食べるのが早い。私がまだ半分くらいしか食べていないのに、もうほとんど残っていない。スープを飲み干して器を置くと、私に訊ねてきた。
「それで、まー君とは誰なんだ?」
「さあ、お姉ちゃんの彼氏らしいですけど、詳しい事は分かりません。ただ、お姉ちゃんよりその人の方が、上手く説明出来るって」
「実の姉よりその恋人の方が詳しいってか? 訳が分からないな」
「あ、でもお姉ちゃん天然だから、理路整然と話せない……って事もあるかもしれません」
「まあ、なんにせよ聞いてみれば分かるだろう。明日は非番だ、俺も同席するが構わないな」