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純の恋人
第6章 マスカレード

「はい。国重さんは、相棒ですから」
すると国重さんは咳き込み、顔を赤くする。誤魔化すように頬杖をつくと、舌打ちして言い放った。
「その恥ずかしい呼び方はよせ!」
「ドラマではそう呼んでいましたよ?」
「ドラマと現実を混同するな、あんな綺麗な警察なんてあるか。限にお前の事件なんてもみ消されてるんだぞ」
「でも、国重さんはそれに反発して立ち上がってくれました。いい警察だってあるじゃないですか!」
私がフォローすれば、国重さんはまた表情を暗くする。なんでだろう、国重さんはまるで、警察は汚い、酷いんだと責めてもらいたいみたいだ。
「――そうだ、国重さん」
とにかく私は話題を逸らそうと、勢いで話し始める。国重さんを責める事なんて、とても出来やしなかった。
「私、マスカレードの女の人の、どっちなんだと思います?」
「なんだ、藪から棒に……」
「だって、気になるじゃないですか。あの二人のどちらかが私なんて、今の私じゃ信じられないです」
歌にしろ楽器にしろ、中学校までの私には縁がなかった話だ。それがバンドだなんて言われても、全くピンとこない。

