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純の恋人
第6章 マスカレード
他人の目から見たら私はどちらに見えるのだろうと思い訊ねてみれば、国重さんの目線が私の顔の下に向かった。
「体格からすると、どちらでも不思議ではないだろうな」
平然としているけれど、国重さんが見ているのは私の胸だ。確かに顔が分からない以上、判断する材料は体つきなんだろうけど。
「ひ、ひどいです、国重さん!」
「酷いって何がだ。訳が分からない女だな」
私は気恥ずかしくなって、胸を隠すように両腕を組む。国重さんは私の気持ちなんて知らずに、冷静な分析を続けていた。
「だが、テレビや写真越しでは、実際見たのと違いはあるだろう。厄介なのは、金髪の方だ。ピンクの女は割と体型を晒しているが、金髪は体を隠した衣装しか着ていない。細身なのは間違いないだろうが、あれで判断は出来ないな」
「口元とかはどうですか? 仮面を付けていても、口は見えますよ」
「それこそ化粧で誤魔化せる場所だろう。女なら、特にな」
「う……ようするに、どっちかは分からないと」
「お前が仮面バンドなんて組んでいるからややこしくなるんだ。大体バンドなんざ、顔を出してなんぼの商売じゃないのか?」