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純の恋人
第6章 マスカレード
「ない、とは言い切れないな。お前が不安になるだろうから預かる、と騙して証拠を奪い、隠滅する。自作自演でお前を怯えさせて、まんまと自分の家に連れ込む。むしろ充分に有り得るだろう」
「私、この部屋に戻ってきて大丈夫でしょうか……」
「今は平気だ。さっきお前がパソコンを確認している時に確認したんだが、ひとまず怪しいものはなかった。警戒されているのは分かっているだろうから、今から下手な真似はしないだろう」
そう言われても、いつ不法侵入されるか分からないと思えば背筋が寒くなる。けれど続く国重さんの言葉に、私は不安どころか思考全てが吹っ飛んだ。
「まあ、しばらくは俺も泊まり込みで護衛に回る。警察官が出入りしていれば、牽制にもなる」
「……泊まり、込み?」
「ああ、寝床は気にするな。その辺の床に転がれば、そのうち眠れる」
「えっと、いえ、気になるのはそこじゃなくて。泊まり込みって、私一人暮らしですよ?」
「だから護衛しないと危険なんだろうが。お前、命と一時の恥、どっちが大事なんだ? 本気で犯人を捕まえる気がないなら、俺は帰るぞ」