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純の恋人
第6章 マスカレード
次に目覚めた時、カーテンからは朝日がこぼれていて、すっかり明るくなっていた。
「あ……」
国重さんは私の手を握ったまま、ベッドの縁に頭を乗せ座って寝ていた。けれど私が身を起こせば気配に気が付いたのか、すぐに目を覚ます。
「……熱はないか? 具合はどうだ」
国重さんは起きるなり、私の額に空いている方の手を当てて心配してくれる。こんな真面目な人相手に、昨日あれこれごねていたかと思えば、なんだか申し訳なかった。
「ごめんなさい……」
「何に対する謝罪なんだ、それは。無意味に謝られても、こっちが困る」
相変わらず言い方はぶっきらぼうだけれど、それもなんだかくすぐったい。繋がれている手を離すのが少し寂しい。だからといって、離さない訳にもいかないけれど。
「国重さん、私はもう大丈夫です。一晩休んで、落ち着きました」
お辞儀して手を離そうとすると、国重さんは力を込めて握り直してくる。
「え?」
存在感を増した手の感触に、私の心臓が驚いて早鐘になる。国重さんはそんな事構わずといった調子で、口を開いた。