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純の恋人
第7章 真実の破片
 
「ストーカーの手紙は、純がマスカレードのアンジュである事を知っていた。その事を知っているのは、事務所の本当にごく一部の人間だけなんだ。だとすれば、犯人はかなり絞られる。社長は女性だし、事情が事情だったからマネージャー業は僕が代行していたし……」

「……もしかして犯人は、同じメンバーだとか?」

「その通りだ。翔と昌哉で純を取り合っていたのは、前から僕も知っていた。まあ純は、真子に似て鈍いところがあったから、気付いていないみたいだったけれど」

「まー君、そこ私の名前出す必要あるの?」

「え? だって似て……いや、なんでもない、とにかくだ。怪しいのが二人だと踏んで、一芝居打ったんだ」

 鈍いと言われて不満そうな姉の視線から逃げながら、松永さんは話を続ける。変なところにこだわり続ける辺りは姉らしいけれど、話の腰が折れてしまいかねない。今日の話に松永さんが同行してくれてよかったと、私はしみじみ感じていた。

「純の恋人だと名乗れば、どちらかが尻尾を出すんじゃないかと思ったんだ。それで、悪いとは思ったけど、少し嘘を吐かせてもらった」
 
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