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純の恋人
第7章 真実の破片
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。国重さんは怖いけど、悪い人じゃないから」
私がフォローすれば、渋々ながらも姉は頷く。松永さんは、本当にいいのかと聞きたげに目を向けてきたから、私は首を縦に振った。
「全てを思い出すためには、国重さんの助けが必要だから、大丈夫です」
「純がそう言うなら、僕は何も言わないけれど……何かあったら、今度は僕や真子を頼ってくれ」
「はい、松永さん」
まだ、犯人が分かった訳でもない。けれど頼もしい存在と明らかになった過去は、私を安堵させた。
「裏付け、ですか?」
姉と松永さんが帰った後、国重さんは複雑そうな顔をして口を開いた。
「過去の話、おそらく大まかなところは真実だろう。空想であれば、お前の姉貴が首を傾げるだろうしな。だが、松永はあくまで容疑者の一人だ。どこかに嘘があるかもしれない。鵜呑みには出来ないという事だ」
「そんな、だって松永さんはお姉ちゃんの恋人ですよ」
「だからなんだ? 姉だけで飽きたらず妹にも手を出そうとして、失敗したからひき殺そうとした――そんな可能性だってある」