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純の恋人
第7章 真実の破片
「さて、それではご用件をお聞きしましょう。まさか、ただ礼をしにきた訳ではないでしょう?」
「はい。実は――」
あまり国重さんにしゃべらせないようにしようと思って、私は自分から積極的に口を開く。私が今まで何を見てきたのか、何が目的なのか、若頭へと全て隠さずに話した。
「――なるほど、それで確実に第三者である僕の元へ、情報収集に赴いたのですね」
「一文字さん、どんな小さな事でもいいんです。あの事故の日何か変わった事はなかったか、思い出せないでしょうか」
「そうですね……事故に関しては、僕も坂本へ話した以上の情報は持ちません。しかし、あなたが今疑問に抱いている事のいくつかについて、答えを差し上げられるでしょう」
「疑問に、答えを?」
「ただし、お答えするには一つ条件があります」
若頭は国重さんを指差すと、眉をしかめる。
「先程から無駄な殺気を感じて、非常に不愉快です。刑事が僕を嫌うのは当然でしょうが、取り引きするならそれ相応の態度というものがあるでしょう。礼儀作法を知らない醜い輩の顔は、一秒とて視界に映したくありません」