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純の恋人
第7章 真実の破片
「んだと? どんなに取り繕うがヤクザのくせに、礼儀作法もクソもあるか」
「あなたはこの場にいりません。彼女一人で残るなら、話をしましょう」
国重さんが眼鏡を光らせるけれど、若頭は全く怯まずそっぽを向く。優男みたいに見えても、やっぱり極道なんだと思い知らされた。
「分かりました。私一人で話を聞きます。国重さん、私は大丈夫ですから」
「何馬鹿な事言ってんだ、一人になんてさせられるか!」
「だって、そうしなきゃ真実には辿り着けません! 私は、知らなきゃいけないんです」
国重さんが心配するのはもっともだけれど、ここは引けない。すると突然部屋の扉が開き、屈強な男の人が入ってきた。
「僕は彼女の意志を尊重しましょう。刑事さんは、お帰りください」
屈強な男は国重さんの腕を掴み、部屋からつまみ出そうと引っ張っていく。
「ちょっと待て! 俺は認めないぞ!」
それでも部屋に戻ろうとする国重さんに、私はただ叫ぶしか出来なかった。
「国重さん! 私を信じてください!」
ここで無体を働けば、手掛かりが消えてしまう。国重さんが納得してくれたかは分からないけれど、扉が閉まれば確認する術もなかった。