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純の恋人
第7章 真実の破片
それは、宮城さんと田中さんに少しだけ疑いが深まる事実だ。二人に病院と繋がる縁は見当たらないけれど、暴力団とは繋がれる。私が病院送りになる事で得はしていないけれど、まだ容疑者からは外せそうになかった。
「そしてその繋がりゆえに、あなたが事務所で真実を聞き込みしようとしても無駄でしょう。恐らく事務所には、狩野組から通達されているはずです。あなたが真実に気付くような事は、何も話すなと」
「それじゃ、私がアンジュだっていう裏付けも取れないです。一体、どうすれば……」
すると若頭は急に立ち上がり、正面から手で私の目を覆う。突然すぎる行動に、私は声を上げる事も出来なかった。
「目元を隠した姿は、似ているような気もしますが。とはいえ、確かに裏付けがないと困りますね」
何かされるのかと思ったけれど、若頭はすぐに手を離してくれた。けれど、安心したのも束の間。今度は私の顎を取ると、柔らかく微笑む。
「ここからが僕にとっての本題です。あなた、マスカレードのアンジュなんでしょう? 事件が解決出来たなら、また歌いませんか?」