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純の恋人
第8章 不信
「山田、お前はいつからガキのお悩み相談室に転職したんだ? 呆けてんじゃねぇ、捜査に向かうぞ」
「で、でも国重さん。彼女、誰かに尾けられてるって……」
国重と呼ばれた刑事は、若い刑事さんを鋭く睨む。それで縮み上がった彼は、慌てて外へと駆けていった。
「おい、お前」
そして刑事は私をまた見下ろすと、無情な声で言い放つ。
「尾けられているなんて、どうせ痴情のもつれだろう? 警察では尻軽の後始末はやってないんだ、帰ってくれ」
「違います、私、そんなんじゃ……」
「はっ、下着丸見えの体勢で言っても、説得力の欠片もないな。まずは足を閉じて、世間へ迷惑を掛けた謝罪をするべきだろう」
私が転んだのは、この人が肩を押したからなのに。周りの警官の視線が、私のスカートの中に集まるのが分かる。恐怖の涙は、いつの間にか悔しさに変わっていた。
警察は、頼れない。私が縋っても、その手を簡単に払いのける。私は……一人で、なんとかしなきゃいけないんだ。
「……ご迷惑をお掛けして、すいませんでした」
私は足を閉じると、冷たい床に尻を付けたまま頭を下げる。