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純の恋人
第8章 不信
「あの、アンジュさん。あのピンク色が、謎のイドさんなんスよね?」
その問いに頷けば、イドさんは複雑そうな顔をして私に語りかける。
「オレ、こんな商売をしてるっスから、人の善意とか悪意には、少々敏感な自信があるっス。あのイドとかいう男に近付くのは、やめといた方がいいっスよ」
「それは、どうしてですか?」
「あいつ、なんかヤバいっス。なにがヤバいって聞かれると、うまく言えないんスけど……嫉妬深いというか、粘着質そうというか」
成実さんはイドさんに初対面から怪しい人だと思われていただろうから、そんな風に感じたんじゃないだろうか。そう思ったけれど、一方で彼の違和感を流してはいけない気がした。
本当なら、一番先に「そんな事ない」って言わなきゃいけないのに。全てを疑わなきゃいけないのって、本当に嫌になる。真実がはっきりすれば、こんな生活から脱出出来るのに。
「……もう夜なんですよね。田中さんの元へ、向かえますか?」
「へ? まあ、若に連絡して大丈夫って言われたら大丈夫っスけど……アンジュさんは、体大丈夫なんスか?」