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純の恋人
第8章 不信
「そんな……俺は、そんなつもりじゃ」
「待ってください! カナは、悪くありません! 私、事故の時カナに謝りたいと思っていたんです。こんなところで死んだらカナが気に病む、気にしないでほしいって」
私がカナを恨んでいたなら、意識を失う直前、そんな事考えなかったはずだ。カナを責めようなんて思う人は誰もいない。それは、私の確かな真実だった。
「……いや、それでも俺のせいだよ。純は俺を拒んで、逃げたんだ。当たり前だよな、ストーカーに怯えてるのに、信用したメンバーにまで裏切られたんだから。俺はどんな顔をしたらいいか分からなくて、純を追えなかった。いや、追わなかったんだ」
カナが追わなかったのだとすれば、私が強姦魔に捕まったのは、その後。カナが犯人を目撃している可能性もないだろう。
「……最低だよ、俺。純は俺に気を病むなって言ってくれたのに、俺は純が事故に遭ったと聞いて、真っ先に自分のせいじゃないって思った。事故が事件かもしれないって聞いた時も、聞かない振りして逃げようとした。責任逃れして、自分を守る事しか考えなかった。ごめん、本当にごめん」