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純の恋人
第9章 彼の本性
私は無意識に叫び、後ずさる。すると後ろにいた成実さんが、ぶつかった私を背に隠してくれた。
「ったく、撒いたのにしつこいっスね! あんたは信用ならないっス、アンジュは渡さないっスよ!」
「撒いた? 何の話かは知らないが、これ以上そいつに関わるな。一般人に手を出すなら、警察も黙っちゃいないぞ」
「白々しくとぼけんじゃねぇっス! 少なくともオレ達は、被害者に暴言吐いて追い返すような真似はしないっスよ!」
「――なんで、お前がそれを」
「問答無用! どうやって警察から抜け出してきたのかは知らねっスけど、またお帰りいただくっスよ!」
成実さんはそう叫ぶと、国重さんのみぞおちを狙って蹴りを繰り出す。けれど国重さんは後ろへ飛び退き、それをかわした。
「このっ……!」
国重さんは蹴りで伸び切った成実さんの足を、引く前に掴む。バランスを崩した成実さんは歩道の冷たいコンクリートに叩きつけられ、国重さんに組み敷かれる。けれど、成実さんは封じられなかった。掴まれた足を思い切り振り上げて国重さんを振り払うと、頭突きの勢いで体を起こす。